百年泥 第158回芥川賞受賞
石井 遊佳
新潮社
2018-01-24




芥川賞ということで読んでみました。
不思議な話。

これはあらすじ、というものを書くことが難しいので
「百年に一度の洪水で川が氾濫して百年分の思い出や違う世界が泥の中からあふれ出す」
というなんとなくな感じです。

最初は「なんだこれ。何がいいたいんだ?」とハテナマークばっかり。
ああ、なんとなくこういう類の本なのかな?と途中から受け入れて読んでいく。
同じく芥川賞受賞作品の「異類婚姻譚」と似た印象。



この作品、私の感想としては「夢」だ。
夢の中で起きる、あれこれ入れ替わり立ち代わり
人が変わっても、景色が変わっても、時代が変わっても
何も疑問に思わずに進んでいく感じ。
まさに夢。
夢を文章にすると、矛盾や理屈の通らないことしかない。
常識的なことが少しあるとしても
同級生が全然年齢の違う子だったり
友達として出てくるのがまったく仲のいい子でもないどころか
会ったこともない芸能人だったり。
何日も同じ日を繰り返したり
一気に時間が進んだり。
数時間の睡眠でとんでもない冒険をするのが夢だ。

目が覚めれば、矛盾や疑問があることも
寝ている間は当たり前に起こる。
この作品はまさに夢そのものだった。




ただ。
これが芥川賞受賞するほどいい本なのか、ということには疑問。
芥川賞は最近疑問視されることが多い気がする。
けど、又吉というひいき目(?)先入観(?)なしにして
「火花」は面白かった。

私はどこか審査員とは合わないのかな?
でも過去の受賞作の中でも面白いと思ったものもあるけどなあ。


「スクラップ・アンド・ビルド」
「コンビニ人間」なんかはすごく面白いと思った。


今回の受賞作は、もう一作あるので読んでみようと思う。
そういえば芥川賞受賞した「死んでいない者」が本棚に入れたまままだ読んでいなかった。
それも読もう。


スクラップ・アンド・ビルド
羽田 圭介
文藝春秋
2015-08-07



コンビニ人間
村田 沙耶香
文藝春秋
2016-07-27







火花 (文春文庫)
又吉 直樹
文藝春秋
2017-02-10