んーーーーいまいちです。


「パソコン通信」の中に現れたアイドル。
まるで聖画像のようにあがめられる彼女と
実在すると信じながらも、実際に合うことなどなくてもいいという
まるで宗教信者のようなファンたち。
だれも本物の「有森恵美」を見たことがない。
見たことはないけれど絶対に存在する。
有森恵美のライブ会場で起きた殺人事件が連続殺人の可能性が出た。
有森恵美をめぐって繋がっていく二つの事件。



というお話です。
すっごい楽しみにして読んだけど
古いせいかどうもピンとこない。
でもこの時代にすでにヴァーチャルアイドルというものを描いてあることがすごい。
パソコン通信というのが私にはよくわからなかったが
その中で繰り広げられるやりとりやアイドル像の受け取り方なんかは
今の時代の方がむしろしっくりくる。
わたしはこの「有森恵美」を初音ミクに重ねて読んでみたけれど
多分、それとも少し違うのだと思う。
なんとなく手探りで読み進めていった。

読後、すぐには、おもしろいとは思えなかった。
やっぱりどこかピンとこない。そのまま終わってしまった。
ただ、それより登場人物の悲哀漂う父親のやるせない姿がよかった。
なんだか胸が痛む。
反抗期を過ごした子供が
大人になって感じる罪悪感のようなものを感じた。

むしろこっちを主体にしたら面白かったのでは?と思うほど。
どうもこの特殊なアイドル像やパソコンをかけて「イコン」(聖画・アイコン)
というタイトルを説明する部分が大部分を占めてしまっているのが残念だった。


今野敏は好きだけど
やはりだいぶ作風は変わったんだなと感じる。
一貫して刑事ものを書いていることは変わりないが
前作蓬莱では「~なのだ。~なのだ。」の多用で若干ひっかかりを感じた。

説明がくどすぎるのだ。(真似ました。こんな感じ)

この作品でもまだそこらへんは残っているけどだいぶ減っている。



時代を感じるのに読んでみてよかったかな、という感想でした。
(時代背景、今野敏の作品の両方の意味で)