独自独尊読書日記

「あらすじ」は読んで自分が、こうだろうと思ったものを書いています。 他のサイトからの引用はなるべくしないようにしています。 主観を大切にした、独自、独尊のブログにしたいと思います。

少し前に読んだ本「闇に香る嘘」下村 淳史


闇に香る嘘 (講談社文庫)
下村 敦史
講談社
2016-08-11






全盲の主人公から見た「兄の違和感」がテーマ。
中国残留孤児として離れていた兄が帰国した。
しかし自分は全盲になってしまい、その顔を見ることができない。
中国に長くいたためなのか、中国を強く擁護するような兄に
「兄は中国人で、日本人の兄になりすまして日本にやってきたのではないか」
などといろいろ推測するが、目が見えないためヒントが限られてしまい
真相になかなかたどり着けない。


これは面白かった。江戸川乱歩賞受賞作。
まさに「文章」でしか表現できない作品だと思う。
全盲の主人公と同じく、読者は主人公の視点(あえて)から物語を「想像」するしかない。
周りで起こることも、反応を「感じる」ことも、音を聞いて推測されることも。
これこそ映像ではできない面白さがある。
同じ理由で「本でしか楽しめない作品」というのはいくつもあるのでまた紹介したいと思う。

見事なラスト。
すべてがつながる。
ミステリーだけではないのでミステリーが苦手でも読めると思います。



闇に香る嘘 (講談社文庫)
下村 敦史
講談社
2016-08-11




今日読んだ本「道徳の時間」呉 勝浩

道徳の時間
呉 勝浩
講談社
2015-08-05




江戸川乱歩賞受賞作。
江戸川乱歩賞には「13階段」のような傑作もあるのに
えーって言いたくなる残念な受賞作もある。

最近だとよかったのは「闇に香る嘘」
おもしろかった。
中国残留孤児として離れていた兄が帰国したところから
全盲の主人公は違和感を感じ始めて…という話。
兄は本物なのだろうか、というキャッチコピーがついている本屋もあった。
これはよかったのでまた別に感想を書こうかと思う。

でも「脳男」や「天使のナイフ」なんかはそこまでじゃないような。
というより自分の中ではいまいちだったのに受賞作と知ってがっかりした本。

2017年は該当なし、となっている。
厳しい賞なのか、そうでもないのか。


今回の「道徳の時間」は
自殺で発見された男性の家に「道徳の時間を始めます。殺したのはだれ?」
のラクガキがあったことから
自殺ではなく事件ではないか?という可能性を追求していくうちに・・・。というストーリー。
そこにジャーナリストの主人公の個人的な問題、過去の殺人事件、
近所で起こる連続した猟奇的なイタズラなどが絡んでくる。
「道徳」というだけあって、ポイントが難しい点が多くて
どうにも煮え切らない表現が多様される。
例として出される文章もわかりづらい。

いいとこついてるなぁ、いい題材持ってくるなぁと思うけれど

詰め込みすぎ。

もっと絞って書いた方がよかったと思う。偉そうなこと言うけど。
描こうとすることが多すぎてまとめきれてない印象で
最後の方はちょっと飽き飽き。

ミステリーサスペンスヒューマン・・・
色々混ぜすぎてよくわからない色になりましたって印象。

道徳の時間、っていうタイトル見たときにはかなり惹かれて
面白い本見つけた!って喜んだのになぁ。
なんとも惜しい本でした。




今日読んだ本「七十歳死亡法案 可決」垣谷 美雨




高齢者社会になった日本が苦肉の策で編み出した
70歳になったら希望の方法で安楽死しなくてはいけないという法案。
可決してから、介護に追われる家族がどうかわっていくか、という話。


介護をするのは主婦の仕事、
ニートなら介護するべき、嫁に行ったら介護する必要なし、
定年後ぐらいは自由に

などなど現在でも社会問題になっていることを
日常の生活からうまく書き出している。
途中まではあまりに理不尽で腹が立っていくのだが
終わりもこんなもん?って感じ。

結局描きたかったのは
がんばれば変えられる、変えるためのきっかけは何か

ということだと思うけれど、
最後まで突き通してほしかったなぁ。なんとなく消化不良。



介護といえばロストケアも題材にしていたけどこっちの方が好きだったかも。

ロスト・ケア (光文社文庫)
葉真中 顕
光文社
2015-02-10












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