独自独尊読書日記

「あらすじ」は読んで自分が、こうだろうと思ったものを書いています。 他のサイトからの引用はなるべくしないようにしています。 主観を大切にした、独自、独尊のブログにしたいと思います。

虚ろな十字架 (光文社文庫)
東野 圭吾
光文社
2017-05-11





離婚した元妻が亡くなった。
二人の間にできた子供は殺人事件の被害者で
子供が亡くなってから二人の間はうまくいかなくなり離婚した。
そしてその元妻も殺人事件の被害者となる。
彼女は「被害者遺族」の立場から死刑廃止反対を訴えていた。
元妻が殺されたのは偶然通り魔に合ったからなのか。
彼女が残した取材記事から事件の真相を探りだす。


東野圭吾の作品。
私の中で東野圭吾の最高傑作は「容疑者Xの献身」だ。
毎度それと比べてしまうのが残念な癖。

この作品は「贖罪」「罪の重さ」「生きる価値」などがテーマだと思うが、
終盤にかけて、たたみかけるようにそれぞれの立場から叫び声をあげているシーンが
一番の読みどころだと思う。
ただ単に刑務所で過ごすことよりも
罪を隠してでも人を助けることが贖罪になるのではないか。
罪は罪、殺したことに変わりはない、何年たったかなんて関係ない。
殺人犯が死刑になっても被害者遺族は救われない。
だけど死刑にならないなんて考えられない。

読み手に贖罪の定義を問いかける内容になっていく。

死刑が決定したことで、被疑者が事件に勝手に終止符を打つ、ということは
その立場にたって考えてみると、なるほどすんなり理解できる。
もう何もしなくていいのだから。

「刑務所で20年ただ過ごすだけ」では絶対に贖罪になっていない。
作品の中で難しい議論がされているが、これは私にもわかる。

殺された我が子を忘れられずに
「どんな理由でもどんな相手でも殺した人間は許せない。」

この辺は私に子供がいないせいか、どうもしっくりこなかった。

「殺人犯はもれなく死刑にすべき。」

これは少しわかる。少しだけ。



この作品に少しだけ難癖をつけるとすれば
ただの地名だけでそこまで結び付けて考えられるものかな?というところ。
ちょっと勘がよすぎやしないか。


東野圭吾で最近読んだ作品はどれも「それなりに面白い」という印象だったので
かなり期待して読んだ本。
そして本当のところを言うと
実はこの本、私の勘違いで買った本だった。
「殺人事件で我が子を亡くしたのに、死刑反対を訴えていた」
とあらすじを読み間違えて。

あれ?死刑反対じゃないじゃん、とか思ってから気づいた。


ともあれ作品自体はおもしろかったです。

そしてとても考えさせられる内容でした。


容疑者Xの献身 (文春文庫)
東野 圭吾
文藝春秋
2008-08-05





マラソン大会で起きた「テロ」で
現場にいた多数の犠牲者に使われた「ゴールデン・ブラッド」という
人工血液。
拒絶反応を起こさない画期的な血液というはずが
輸血された患者が、数週間後に相次いで亡くなっていく。
死因は。ゴールデン・ブラッドの正体とは。製薬会社と大学病院の繋がりとは。
テロは本当にテロだったのか。
あの場にいた人は全員偶然だったのか。


医療ミステリー。
似たような内容だと「がん消滅の罠」がある。

ゴールデン・ブラッドの正体よりも
そのバックの製薬会社と大学病院の教授との癒着、
新薬を広めるのは、より多くの患者を早く治療するため。
何を犠牲にするか。
テーマはそこかな、と思いました。

研究者は助けたくて研究している。
早く認可されなければ、患者は助かる前に死んでしまう、
そのためには多少強引でも結果を出さなければならない。


医療ミステリーとしてぐいぐいと引っ張り込まれて
読みやすく筋もしっかりしていますが
「ゴールデン・ブラッド」がどうも。
ネーミングが今一つ。
その通りゴールデンなんですけどね。
そして人が死んでる割には謎の解明が安易すぎる。
でも結果的には面白かったです。
がん消滅の罠、も面白かったので医療ミステリーが好きな人にはお勧めです。














芥川賞受賞作、読んでみました。


出だしから「これは面白い」という予感。
面白い本って最初の数行読んで感じるものがある。



純文学にあらすじというものがあるのかよくわかりませんが、
桃子さんの人生観の話。

年老いた「桃子さん」。
自分の老いと、これまでの生き方、孤独とそれを感じる自分への不満。
いろんな年の桃子さんたちと自分の生き方を飲み込んで歩いていく。




素晴らしかったです。

これは納得の受賞。



自分の人生の先行きに不安を感じている人や
これまでの自分の人生を肯定できないで悩んでいる人、
誰のために生きているのかわからない人、

いろんな人に読んでもらいたい。


途中、老いた自分より老いた娘を見て悲しむところがあるのですが
すごくわかります。

私に娘はいませんが、
家族の老いの方が自分の老いより堪える。


私は桃子さんより若く、桃子さんの娘の年に近いのだけど
桃子さんの孤独や、先の見えない人生や
これまで何のために生きてきたのか、それが正しかったのかわからないところ、
暗中模索するところに共感して涙が出た。


東北弁で書かれているところが多いのですが
不思議とわかるものです。
完全に合っているかは怪しいけれど
テンポがよくて、東北弁を含めて「すべての桃子」さんが愛おしくなる物語でした。

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